Soup Stock Tokyo

白木夏子

Soup Friends Vol.61
白木夏子 さん

2009年に誕生したジュエリーブランド「HASUNA」代表の白木夏子さんは、美しく、長く愛されるジュエリーを、人や社会、自然に配慮した素材を使用して生み出しています。幸せの象徴として輝きを放つジュエリーに魅せられたきっかけや、自分のやりたいことをビジネスにする強い想い、ギフトシーズンにちなみ「モノを贈る」ことの大切さについて伺いました。

現地の食事を食べることで、身体の中から土地に馴染んでいく

──スープはお好きですか? お料理はなさいますか?

はい、大好きです。自宅でもよく作ります。友人を家に招くときはビーツのポタージュをよく作ります。レシピはシンプルでビーツとじゃがいもを加熱して玉葱を炒めたら、豆乳とブイヨンをあわせてブレンダ―にかけるだけ。簡単で食卓にピンクが飾られると華やかで可愛らしい雰囲気になるんです。

──世界各国を行き来される中で、印象的な食にまつわる思い出があれば、ぜひ教えてください。

海外へ出かけたときはできるだけローカルフードのレストランに行きます。現地に降り立っただけではまだ「日本の空気感を纏っている人」なんです。現地の食事を食べることで、身体の中からその土地に馴染んでいく感覚がありますし、地元の人達も日本人が自分たちの料理をおいしいと思っているかとても気にかけてくれます。言葉は通じなくてもノンバーバルなコミュニケーションとして、食は大切だと感じます。

自然への尊敬と感謝の気持ちを込めてデザインする

──ジュエリーの世界に魅せられたきっかけを教えてください。

ファッションデザイナーだった母の影響もあり、自分も小さい頃からアクセサリーをつくったり、ビーズ屋さんに通ったりとモノを作るのが好きな子どもでしたので、ジュエリーに魅せられていたのは物心がついた頃からかもしれません。大学受験でファッションの道に進むことも考えましたが、旅好きの祖父から海外の様々な国の話を聞くうちに、世界を飛び回って仕事をする自分の姿を漠然と想像していました。また学生時代に聞いた、ジャーナリストの講演で飢餓や貧困問題に直面する人々の現実を知り、海外の大学で国際協力を学ぶことを決めました。

──起業を決意されたエピソードを教えてください。

イギリスの大学に進学してフィールドワークで南インドのチェンナイという地域を訪れたときです。貧困層の住む地域に2か月ほど滞在したのですが、そこで厳しい現状を目の当たりにしました。鉱山労働者の生活は一日一食しか食べられず、貧困のため病気になっても薬が買えない。大人も子どもたちも明日への希望を見いだせずに生きている。彼らが採掘している金属や宝石は精密機械の部品やジュエリーの材料になるものです。華やかさの裏側にある現実に衝撃を受け、将来的に世界中の鉱山で起きている問題解決につながるようなビジネスをしたいと考えるようになりました。

──これまでの歩みが現在のビジネスに繋がっているのですね。

自分の大好きな分野でビジネスをしたいと思ったとき、頭に浮かんだのは小さい頃から興味のあったジュエリーの仕事でした。産地と顔の見える関係を築きながら今のビジネスの構造を変えたい。ジュエリーの素材となる鉱物は時空を超えて受け継がれるもの。そのストーリーも魅力でした。振り返ってみると、無駄な経験は一切無いなと改めて思います。自分のやりたいこと、好きなこと全部が繋がって今があると感じています。

──ジュエリーをデザインされるうえでどのようなことを意識されていますか?

宝石も金もプラチナもすべて、地球の中で長い年月を経て育まれたものです。ですからデザインにおいても自然への尊敬と感謝の気持ちを込めてデザインすることを意識しています。あとは、ジュエリーは世代を超えて身に着けられるものなので、長く愛されるデザインと高い品質であることをとても大切にしています。

ギフトとは世の中に笑顔を増やす良い循環

──白木さんにとって、大切な人に「モノを贈る」という行為はどのような意味をお持ちだとお考えですか?

ギフトは相手のことをどれだけ思い巡らせたかの現れだと思います。相手が喜ぶ顔を想像すると自分自身も笑顔になりますよね。贈られる側も、贈る側も、モノを作った人も。世の中に笑顔を増やす良い循環を生んでいけたらと思います。

──いま、一番興味があることや、今後取り組みたいことがあれば教えてください。

HASUNAでは国境を考えずグローバルに活動していきたいと思っています。それに個人的にはオーガニックフードに関わることにも挑戦してみたい。自分が立ち上げた仕事を通じて関わる人たちが皆幸せになることに喜びを感じます。

──白木さんご自身の原動力を一言で表すとしたら何だと思われますか?

「まだ見ぬ世界への好奇心」でしょうか。人と出会う中で人間としての本当の美しさを感じることが多々あります。まだ見ぬ知らない世界を探求したいと自分自身を奮い立たせる好奇心こそが私の原動力だと思っています。

白木夏子(しらき なつこ)

英ロンドン大学卒業後、国際機関、金融業界を経て2009年4月に株式会社HASUNAを設立。2011年日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011 キャリアクリエイト部門受賞。世界経済フォーラムGlobal Shapersに選出。AERA「日本を立て直す100人」に選出。2012年APEC(ロシア)日本代表団としてWomen and Economy会議に参加。2013年世界経済フォーラム(ダボス会議)に参加。2014年 Women of the Future Summitに参加。2014年Forbes誌「未来を創る日本の女性10人」に選出。主な著書:「女(じぶん)を磨く言葉の宝石」(かんき出版:2014/12)、「自分のために生きる勇気」(ダイヤモンド社:2014/3)、「世界と、いっしょに輝く」(ナナロク社:2013/2)

アジアの食の知恵

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