Soup Stock Tokyo

玉置 純子

撮影協力/ヘアメイク abiquiu

Soup Friends Vol.93
玉置 純子 さん

ことし、わたし 感性を貯める
クリエイティブコンサルチーム「stillwater」代表の玉置純子さんには、仕事をしながら感性を磨く方法を教えてもらいました。

「何屋」と決めずに作った会社

──stillwaterはどのようにして生まれたのでしょうか?

元は同じ会社で働いていた仲間4人がそれぞれ別々のキャリアを経て集まりました。広告、飲食、インテリア、アートと、経歴はみなバラバラだったけど、メンバーの一人が暮らしていたアメリカのミネソタ州では「今日をどう豊かに過ごすか」を考え、それを自然体で表現している暮らしがあって、その価値観が皆に共通してあったんです。全員が海外に住んでいたわけじゃないけれど、みんな既成概念にとらわれない性格なので「何屋になると決めずに」会社を作ったんです。事業計画的なものはなく、いただいたお仕事や出会う方々からお話を伺うたびに、浮かぶアイディアを真摯に伝えていったら、いつの間にかこの形になっていたのです。女性4人だからこそできたのかもしれないですね。

貯金はなかったけれど、感性は貯めてきました

──皆さん会社員を辞められての独立でしたが、躊躇はありませんでしたか?

とある社長さんが「貯金さえあれば、辞める覚悟で勝負ができる」と仰っていましたが、それでいうと貯金は特にはなかったんです(笑)。ただ世の中が求めているものがあるはずという確信はありました。お金はなかったけれど、それまでの経験で貯めてきた感性はありました。不思議なもので、皆会社員を辞めて後ろ盾がない状態になった時に、周りに「覚悟」が伝わっていったんです。

──キャリアを重ねても「変えなかった」ことはありますか?

3社を経験しましたが、仕事をする上で「感性」を大事にしていることは変わらないかもしれません。ただ「イケてる・イケてない」ということではなく、感覚をちゃんと開いておくことが大切。モノやお金が充分になかったとしても楽しく暮らしている人はいますよね。例えば少し空いた一日や時間をどうやって楽しめるか、これを意識できないと退屈な人生になるような気がしていました。

ポジティブさと、そこはかとないアゲインストと

──大切にしていることはなんですか。

世の中やクライアントさんの、既存のルールの中でも「センス」を担保し、本質的な価値を見出すのが役割だと思っています。そうなるともちろん誰かと対峙するときもある。そんな時こそ、ポジティブな姿勢は崩さず、そこはかとないアゲインストを持ち続けるようにします。共感をしながらも、ステレオタイプな考え方に流されない姿勢をもっていないと、私たちがいる意味がないと思っています。

──クリエイティブな仕事に憧れる人は多いと思います。

「(コンサルって)なにやってるかわかんないよね」と言われることもあるけれど、わずかな文字数のインタビューのために電車で何時間もかけて直接話しに行ったり、地方の案件では地域住民の皆さんと何十回も話したり、「土臭いこと」こそ大事にします。現場に寄り添って、観察すること。組織の中で仕事をしていたときは会社に守られている居心地の良さがあったけれど、もっと生身でぶつかりたいと思っていました。やってみるとその分だけ喜びも大きい。全ての仕事に感謝して、手書きのお礼状も欠かさず。そういうひとつひとつを大事にするようにしています。おかげさまで一緒に仕事をした仲間たちが仕事をつないでくれることが多いですね。

──今年やりたいことは。

昨年、タイで「The days」というオーガニックハーブのブランドを立ち上げたのですが、今年はこれを、たくさんの人に届けたいです。ハーブティーは「時間を楽しむもの」として作りました。時間に追われる生活の中で、余白を楽しめるようなもの。私の原動力は「仲間や家族とおいしいご飯を食べたい」ということが根本にあります。そういう時間が作れるような暮らし方を提案できたら嬉しいですね。

玉置 純子(たまき じゅんこ)

2012年に女性4人で「stillwater」を起業。4年に1度の社長交代制により、2期目の社長に就任。問題解決型、ものごとの“奥行きづくり”を生業にし、国内外を飛び回る日々。2019年1月に開業する福島県須賀川市民交流センター「tette」の市民協働コンサルや、昨秋銀座に開業した「THE GINZA」新直営店コンセプトメイキングなど。昨年はオーガニックハーブの自社ブランド「The days」をバンコクにてスタート。

福をつつむ牡蠣のポッサムキムチスープ