Soup Friends
Soup Friends Vol.67 / 西川美和 さん
──新作『永い言い訳』の準備をしている時、お子様がいらっしゃる家庭でごはんを一緒に食べたり、泊めていただいたりしたそうですが、食卓に並んだメニューで特に印象に残っているものありますか。
──そんなふうにいろいろな家庭の味を味わう中で思い出した、ご自身の懐かしい味、母の味はありましたか。
──一度冷めた味噌汁をまた温めると、何とも言えないおいしさが出てきますよね。
──西川監督の作品は、夫婦や家族のストーリーが多く、必然的に食事や食卓のシーンを撮る機会が多いと思うのですが、そういったシーンを撮る時に特に気を付けていること、こだわっていることはありますか。
──西川監督がこれまで描いてきた人物の中で、本木雅弘さん演じる幸夫は“一番自分自身に近い”とおっしゃっていましたが、原作の小説から映画の脚本もご自身で書かれていて、なぜそうなっていったのでしょうか。
あとはやっぱり、私も幸夫もまったくもってまっすぐな人間ではないんですよね。人間には、陽一のようにストレートに感情表現が出来たり、別れを素直に悲しんで消化出来るタイプとそうでないタイプがあると思うんですが、私は明らかに後者で、いろいろな部分で「もう少しまっすぐだったらな・・・」と思うことがあります。でも、それは私だけでなく、人間だったら当然持っている複雑さでもあり、それをちゃんとキャラクターに投影させて描こうと思いながら作っていました。
──「今回の作品はこれまでの集大成です」とおっしゃっていましたが、それは、ここまでをひとつの区切りとして、何か別のことや違う挑戦をしたい、という意味だったのでしょうか。次はどんなステージを見据えていますか。
──40歳までに見てきたこと、感じてきたことは、この『永い言い訳』で出し切ったと。
──最後の質問として、皆さんに活動の“原動力”を伺っているのですが、西川監督の執筆や監督業の原動力になっているものは何ですか。
だから、やっぱり、生きるためには言い訳が必要なんですよ。書くのも言い訳。撮るのも言い訳。それはもちろん、良い意味でですよ。「明日打ち合わせがあるから」って言える幸せってすごいし、きっとみんなそうやって言い訳をしながら生きているはずです。上手く言えませんが、映画があるから私は生きていけています。これがなかったら死ぬと思います。本当に。でも、なぜその映画を作っているのかは未だに分からないのですが(笑)。