Soup Friends
Curry Friends /青木ゆり子さん
それでもカレーといえばインドですよね。インド国内だけでもたくさんカレーの種類があります。ざっと東西南北に分けてもそれぞれ味が違いますし、内陸と海沿いでも変化する。ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教などの、宗教や宗派によって食材が違うこともあるので、底知れぬ深さがあるなと感じます。
食文化は常に変化しています。人と人が出会って、それぞれの文化が化学反応を起こして、新しい料理が生まれる。土地に根ざす歴史があり、それによって出入りした人たちの流れがあり、すべてが混ざり合って料理が生まれている。そういった成り立ちを知ることに、食のおもしろさを感じます。
去年は、書籍の取材もかねて、10カ国くらい行ったかな。これまで訪れたのは、70カ国ほどでそれほど多くはないのですが、プロとして行った国数が多いだけで浅くならないように、私は同じ国に何度も行くんです。食文化を知るためには重要ポイントとなる地域があると思っていて、中東や地中海、インドなど、シルクロードと呼ばれるエリアによく取材に行きます。文明の発祥地が集中しているエリアですね。去年は、メソポタミア地方にも行きました。様々な食の起源を旅して探っていくんです。カレー系は、インダス文明が起源だったり……歴史の勉強になってきましたね(笑)。ですが、この起源となるエリアから探っていくと、多くの国の食文化が理解しやすいんです。
ひとつのきっかけとして、食を通じて人と出会うことは大事だと思います。その出会いを意識して生きていると、自分の中の世界が広がるし、人生が楽しくなる。それは、この世界にとってよいことだと信じています。