産地だより

北海道の皆さんと育むスープが、今年も登場します。

Soup Stock Tokyoでは、2022年11月7日(月)から11月26日(土)までの期間、北海道札幌市の2店舗、円山店および大同生命札幌ビルmiredo店限定で「季節のボルシチ」をご用意いたします。このスープは、2020年10月に初めて登場し、今年で3回目の販売です。背景には、札幌近郊の生産者さんたちとの出会いと、札幌の店舗で働く店長の想いがありました。


じっくりと炒めた玉葱の甘みが一番の特長とも言えるSoup Stock Tokyoの看板商品「東京ボルシチ」に、馬鈴薯や札幌伝統野菜の玉葱である「札幌黄(さっぽろき)」などを使用し、札幌近郊の食材を存分に味わっていただける「季節のボルシチ」。その名にふさわしく、生産者の方々が手間隙かけて育ててくださった旬の食材をスープのトッピングとして、西野幌の小林牧場の生乳で作られたカリッとした食感のゴーダチーズを使用しています。


Soup Stock Tokyoがスープをつくる上で、北海道の食材は欠かすことのできない存在です。「北海道産かぼちゃのスープ」をはじめ、「とうもろこしとさつま芋のスープ」に使用するとうもろこし、夏の定番「ヴィシソワーズ」の男爵芋やポロ葱など、たくさんの北海道産の野菜を使用したスープは、幅広い年齢層のお客さまに使用しています。
2020年の夏、Soup Stock Tokyo円山店にご来店いただいたJAさっぽろの職員さんをきっかけにして、私たちは札幌近郊で農業を営む生産者(JAさっぽろ青年部所属)の皆さんと出会いました。

実際に札幌の店舗で働くスタッフが農園や牧場へ足を運び、札幌近郊でこだわりをもったものづくりを行う生産者の皆さんの「地元の方にもっと自分たちの作ったものを食べてほしい」というまっすぐな想いに触れるうちに、私たちのスープを通して地域の食材のおいしさをお客さまにお届けしたいという想いがスタッフ一人ひとりに湧いてきました。

そうして生まれたのが、Soup Stock Tokyoの看板商品である「東京ボルシチ」の食材をアレンジした「季節のボルシチ」です。ポイントとなるのは、JAさっぽろ青年部の皆さんとの出会いをきっかけに初めて知った、札幌伝統野菜「札幌黄(さっぽろき)」です。

「札幌黄(さっぽろき)」とは、明治時代に品種として確立し、札幌村(現在の札幌市東区)から全国に広まった、札幌を代表する品種です。
日本における玉葱の栽培の歴史は浅く、明治時代に開拓使がアメリカから持ち込んだ種子を札幌官園で試験栽培したことに始まるのですが、札幌村(現在の札幌市東区)では、早くから玉葱栽培がさかんに行われており、現在でも日本における玉葱栽培発祥の地として知られています。

加熱すると甘みを増し、肉厚で食味の良い札幌黄は明治以降北海道中で栽培され全国に広まりましたが、通常の玉葱と比べて日持ちがしないこと、また病気にも弱いことから栽培する農家が減ってしまい、手に入りにくい現在では”幻の玉葱”と呼ばれるようになりました。
しかし札幌黄は肉質に厚みがあり、加熱しても玉葱のシャキッとした食感を残したまま驚くほどの甘みを感じることができる玉葱です。現在は生産量も少なく希少な札幌黄ですが、「季節のボルシチ」では、札幌黄のおいしさを十二分に楽しんで頂けるよう、蒸し焼きにして甘みを引き出した札幌黄をスープにたっぷりと加えた、全国でもここ札幌でしか楽しむことができない特別なボルシチに仕立てています。


今年はスタッフ数名で、札幌黄を栽培する熊木農園の熊木さんの農場に伺い、札幌黄の収穫までのお話を伺ってきました。

「札幌黄は1玉1玉に個性があり、形や生育の速さもみんなそれぞれ。個々の表情を見ながら、『今何かしてほしいことはないか?』と語りかけながら育てています。個性豊かな玉葱だけに、みんなの要望を一つひとつ聞いていくのは大変ですけどね。
それでも栽培を続けるのは、北海道に住む多くの方から長年愛されているから。今年の札幌黄は、春の降雨が極端に少ないという過酷な環境を耐えて逞しく育ってくれました。皆さんにも作物の持つ生命力を感じながら食してくれたらうれしいです」

手間隙かけて種を絶やさず作り続けている農家の皆さんがいらっしゃるからこそ、今年も「季節のボルシチ」の食材として使わせていただくことができるということを、お話を伺いながら改めて感じました。



現在、大同生命札幌ビルmiredo店の店長松下は、「季節のボルシチ」販売に向けての想いをこう話します。
「生産者さんと距離が近い北海道だけど、作った野菜を誰かが召し上がっている姿はなかなか生産者さんに届きづらい。逆に、生産者さんが笑顔で明るく働いている様子もお客さまには届きづらい。だからこそ私は、生産者さんとお客さまの声を『季節のボルシチ』を通してつなげていきたいです」

また、円山店の店長赤石は、販売に向けての想いをこう話します。
「思いやり溢れる自慢の仲間とともに、北海道のお客さまへおいしいスープを届けることが私の幸せで、毎日の活力です。東京から転勤でやってきた私に、居場所をつくってくれた北海道へ、恩返しの気持ちを込めて。北海道でしか食べられないこの味を、お客さまへお届けします」

スタッフが農場や牧場に足を運ばせていただき、作り手の想いに触れ、手間隙かけて育ててくださった食材を店舗で調理してお客さまに直接お届けする。そして、お召し上がりいただいたお客さまの声をまた生産者の皆さまにお届けすることも、私たちSoup Stock Tokyoの大事な役割の一つだと思っています。“スープ”はコミュニケーションツールのひとつとも言えるかもしれません。
旬の食材を活かして地域の生産者の皆さまとお届けする、「季節のボルシチ」。
このスープをきっかけに、北海道の皆さまにとっても改めて札幌の食材の魅力に触れることができる一杯となれば幸いです。



「季節のボルシチ」
販売期間:
2022年11月7日(月)~11月26日(土)
販売店舗:円山店大同生命札幌ビルmiredo店

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全国的な異常気象や気候変動による農作物への影響が年々増えていく中、こうして今年もおいしい野菜を手間隙かけて作っていただき、スープを通して皆さまへお召し上がりいただけることを私たちもとてもうれしく思います。
スーパーや八百屋さんに行けば、当たり前のように色鮮やかな野菜が店頭に並んでいますが、その当たり前の裏側には、生産者の皆さまの惜しみない努力や手間隙があることを私たちも農場へ伺いお話を伺うことで改めて実感しました。そういった一つひとつの出会いやつながりを大事に、お客さまにお届けしたい一杯をこれからも手間隙かけて作っていきます。
一杯のスープが、皆さまにとって新たな気付きや出会いのきっかけにもなれれば幸いです。

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