サステナビリティ
一人の店長の強い思いからスタートした “もったいない”をなくす、食品ロスゼロプロジェクト
今回のテーマはSoup Stock Tokyoが考える食品ロスについて。食品ロス削減と一言で言っても、飲食店として取り組むべきこと、一生活者として取り組めることなどさまざまです。私たちSoup Stock Tokyoとしてこれまで取り組んできたこと、今取り組んでいることを皆さまと共有しながら、これからの取り組みも一緒に考えていければと思っています。
商品開発における「もったいない」に加えて、昨年からは、閉店時の食品ロスを減らすプロジェクトをスタート。プロジェクトリーダーである、アトレ大船店店長[2019年当時]の坂本勇太に取り組み内容を聞きました。
坂本: 2019年7月から上記のような取り組みをスタートして3か月後、10月から11月にかけての1ヶ月の間、完全に閉店時の食品ロスをなくす挑戦をしました。客数予測やそれに合わせた調理計画をより精緻に行うこと、その計画をパートナー(アルバイト)含めてしっかりと実行すること。言葉にするのは簡単ですが、実際は非常に難しいのです。私たちのスープは調理してから3時間(メニューによってはもっと短いものもある)経過したものは廃棄(スープやカレーの状態が変化してしまうため)するというルールがありますが、お客さまによりおいしい状態でお召し上がりいただけるよう、どのスープがどのくらいの販売数になりそうかを日々検証しながら食材の発注、調理計画を立てています。おかげさまで徹底的にやりきったこの1か月間は、完全に食品ロスゼロを実現できました。しかし、一方で、閉店1時間前くらいにご飯が完売していることもありましたし、スープの種類が少なくなることでお客さまにご迷惑をおかけしてしまう部分もありました。
坂本:このプロジェクトを推進するには、何よりもお客さまの理解がとても大事です。私たちの取り組みに対する思いをきちんとお伝えしてご理解いただけるようポスターを掲示したり、閉店2時間くらい前から僕自身やスタッフが店頭に立って直接言葉で説明させていただいたりもしましたね。
また、メッセージカードもご用意してお渡しをしながらお伝えしました。
想像以上に、共感してくださったり応援してくださるメッセージが多く、とてもうれしくなりましたね!
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「食べ物を粗末にしないという当たり前のことを、勇気ある決断(お店として)で行う姿を応援させていただきます。メニューも一期一会ですから・・・」
「賛同します。たまにラスト近くに入店するときにスープの数が少ないと寂しいですが・・・フードロスで良いです。」
「フードロスへの取り組みとても良いと思います。地元大船からそのような働きかけがはじまっているのはとてもうれしく思います。上手くいくよう願っています。」
「スープストックが大好きで、月に何度も通っています。フードロス0を目指す取り組みは色々なことを大切にすることになると思います。これからも通い続けることにより私も協力できればと考えております。」
「これからの時代、フードロスへの取り組みは当たり前だと思います。何もかもが便利、満たされているという状態はおかしいと思っています。ぜひつづけてください!」
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まずは食品ロス削減に取り組む店舗を増やしていきたいと思います。すでに仲間とともに、社内向けの研修も始めていますし、このプロジェクトを通してスタッフの意識もより高めていくとともに、お客さまにもご理解いただけるような働きかけをしていければと思っています。
閉店時のロス削減については、私たちが出店させていただいているデベロッパーさんのご理解も必要です。商業施設や駅ナカなどに出店させていただいているため、私たちの一存だけでは進められません。ぜひデベロッパーさんとも協力体制を構築しながら、推進していければと思います。
あとは、閉店間近にご飯がなくなった時に備えて、おいしくお召し上がりいただくことが出来る冷凍米飯の開発も進めており、食品ロス削減を実現しながらお客さまのご不便も解消していければと思っています。
未来を作るのは、今の私たち一人一人の選択や行動です。Soup Stock Tokyoというブランドとしてもそうですが、その前に一人の生活者として、取り組むべきこと、取るべき行動を一つ一つ行っていきたいと思いますし、社内のメンバーも含め、お客さまとも一緒に食品ロスや環境について考えるきっかけを作っていけたらと思っています。
さんまや桜海老の不漁などは近年ニュースでご覧になる方も多いと思いますが、気候変動やその他さまざまな環境の変化によって、これまでと同じようにおいしい食材を作ること、収穫することが難しくなっている現状を、私たちも日々目の当たりにしています。お客さまにおいしい料理をお届けしたい、そのシンプルな思いを根底にSoup Stock Tokyoとして食品ロスを含め環境に配慮した取り組みについて、今一度、私たちができること、やるべきことを一つ一つしっかりと行い、取引先の皆様やお客さまにもご協力いただきながら、「未来のおいしい」につなげていければと考えています。