Soup Friends

Soup Friends vol.100/室井 滋さん

女優、作家、歌手、ナレーターなど、多彩な活動を続ける室井滋さんに聞く、変化を受け入れて歩む日々について。

—室井さんは、どんな年末年始を過ごされていますか?

年末はすごく忙しいので、年が明けてからゆっくり過ごしています。私にとって「新年を迎える」ことは、晴れやかにとか心機一転して、というよりも、静かに世の中の様子を見ること。昨年を振り返りながら、仕事や家のこと、自分自身のことを点検してメンテナンスをする時期。そこで整えて、二月からまた新たにスタートします。もちろん、予定通りにいかないことだらけだけどね(笑)。急に入る仕事も多いし、エッセイなどは締め切りがあるから、心づもりをしておかないと仕事に支障が出てしまう。創作活動をしていると、突然「あそこに行きたい」とか、「こういうことをやってみたい」という好奇心が湧いてくるので、その気持ちに臨機応変に対応したくて。フットワークは軽くいたいから、生活の土台はしっかりと。昔はこういう人間じゃなかったんだけどねえ(笑)。

—変わるきっかけとなる出来事があったのですか?

うーん、失敗だらけだったからかなあ。若い頃は、体力もあったし平気で無理できた。雀荘に行って、そこで原稿書いて、そのまま仕事へ行ったり(笑)。お酒もたくさん飲んだしね。20代後半から40代までの、人生で一番忙しい時期の話です。自分の体のことなんて後回しで、仕事も遊びもすべて全力で限界までやって。そんな日々を繰り返しているうちに、ふと、「このままじゃ、いつか体を壊すな」と思い始めて。でもね、当時は楽しくて仕方なかったの。20代前半の頃、仕事がうまくいかない時期があったから、いただく仕事はなるべく全てやりたかった。私のために、ね。
そんなフル回転の生活を続けてきて、40代に入る頃に猫を飼ったんです。そこから暮らしの土台となるリズムがガラリと変わりました。ささやかな生活が楽しいなあって思うようになって。雀荘にも二度と行かなくなったし(笑)、無理なく自然と変わっていったんです。
年齢を重ねていく中で、自分も周りも、必ず変化していく。色々と影響されて焦ったり悩んだりするけれど、少しそこから離れて、「自分が、今しかできない事」を考えてみてもいいと思う。無理して「好きな事を探して!」とは思っていないし、仕事でも遊びでも勉強でも、些細なことでも何でもいい。なるべく自分が好きな事をやっていたり、好きな方向に進めたり、好きな人と一緒にいられたらいいじゃない? 今を楽しむことを逃してしまう事が、何よりもったいないと思うから。私は今年の夏から銭湯にはまっていて、自転車に乗って銭湯巡りしてるの。楽しいよ〜!

—日々を健やかに過ごすために心がけていることはありますか?

食べることを大切にしています。先日、映画の撮影で、牢獄に入れられる役をやったの(笑)。やつれた感じにしたかったんだけど、その時、今より顔がパンパンだったから、3ヶ月で5キロ落としました。体力勝負なので「何も食べないダイエット」はしないし、極端な運動も無理があるので、食べるものや時間を工夫して。野菜をしっかり食べつつ、たんぱく質もとって。炭水化物は控えめに…と言っても、私は米どころ富山県出身なので、めちゃくちゃおいしい新米がたくさん送られてくる時期で…つらかった(笑)。

—ありがとうございます(笑)。室井さんは地元のお仕事もされていますよね。

若い頃は、年に一度くらいしかできなかったんだけど、忙しい時期がひと段落した時に、ちょうど富山のラジオ局から声をかけてもらって、番組を持てることになりました。地元に仕事仲間もできたし、あちこち取材に行かせてもらって、改めて良いところだと感じています。今は月2回くらい帰っていて。とにかく何食べてもおいしいんだわ!(笑)。今は今で、すごく楽しいです。これまでもずっと楽しかったけどね。まだやりたいことも行ってみたい場所もたくさんあるから、自分の身体感覚を使って動いていきたい。これからも、頑張りたいんじゃなくて、楽しんでいたいから!

室井 滋

女優。映画「居酒屋ゆうれい」、「のど自慢」などで多くの映画賞を受賞。最新刊『ヤットコスットコ女旅』(小学館)、絵本『しげちゃん』シリーズ他著書多数。楽曲「ウイルスのチャチャチャ」を配信。「しげちゃん一座」の絵本ライブを各地で開催中。

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