Soup Friends
Soup Friends vol.107/水田悠子さん
医療と美容をつなぐプロダクトを生み出す〈encyclo(エンサイクロ)〉代表・水田悠子さんの、“美しさ”を尊重するまなざしについて
― “恋”と聞くと、どんなことを思い浮かべますか?
― その“ビューティー”が水田さんのお仕事の原点なのでしょうか。
目指していた化粧品会社に就職し、年齢や性別を問わず、あらゆる方の「こんな自分になりたい」という想いを大切に働いていました。でも、29歳でがんになり、治療後、職場に復帰できたのですが、前と同じような気持ちで仕事に向き合えなくなりました。あれほどやりがいを感じていたことなのに…と、そんな自分に対してショックで。悩み続けて気がついたのは、病気になる前の私は多様な人のニーズに応えるために商品を作っているつもりでも、無意識のうちにある一部の人に向けたものになっていたのではないかということでした。そこで改めて、ビューティーは贅沢や娯楽ではなく、自分らしく生きるために必要なことだと思ったんです。
― その思いが、リンパ浮腫向け医療用ストッキング〈MAEÉ〉の開発につながっていくのですね。
― 2020年は、どんな風に過ごしていましたか。
振り返ると、たくさんの出会いに恵まれた期間でもありました。オンライン、電話、メールなど様々な方法を使って、リンパ浮腫の方にインタビューをさせてもらったのですが、首都圏外で暮らしている方や仕事の都合で会えない方など、様々な状況の方と知り合えて、現状や悩みを聞かせてもらうことができました。今の時期だからこそできたことだと思います。すごく貴重な生の声なので、これからの商品開発に活かせる体制を作っていきたいと思っています。
〈MAEÉ〉は、商品開発だけにとどまらず、“ビューティー”というものが、誰にとっても等しく保証されていて、それを堂々と主張できる環境を作りたいという想いを込めています。これからも、生きることに不可欠なものとして大切にしていきたいです。