Soup Friends

Soup Friends Vol.65 / ツレヅレハナコ さん

今月のスープフレンズには、人気ブロガー・ツレヅレハナコさんをお迎えしました。ハナコさんが日々綴られる言葉や写真は、おいしいものへの探求心とお酒への愛に溢れ、その熱い思いは執念とでも呼べそうなほど。立て続けに出版されたレシピ本では、少ない食材であっという間に作れる嬉しいレシピがブログやSNS同様、絶妙な語り口で紹介され、ひとりの時間をもっと楽しむためのヒントも詰まっていました。“おいしい話”をたくさん伺いましたが、まずは、ハナコさんが魅了された、ある国のスープのお話から。

──Soup Stock Tokyoをご利用いただいたことはありますか?

吉祥寺店をよく使わせていただいていますよ。スープの種類がたくさんあっていつも迷うんですが、結局いつも「オマール海老のビスク」を頼んでしまいます。Soup Stock Tokyoにいらっしゃるお客様は意識が高いというか、ファーストフードの値段としては決して安くはないけれど、それに見合う価値が詰まっていることをちゃんと認識されている方ばかりのような気がします。それに、けっこうマニアックなスープを作られていますよね。「攻めてるな~」と、いつも思っています。

──ありがとうございます。ハナコさんは、家ではどんなスープを作られますか。

多いのは野菜のポタージュですね。蒸し煮にした野菜をピューレ状にしてから豆乳で割って作るのがすごく好きです。通年作っているのですが、野菜が甘い時期や根菜類がおいしい季節は特に作りたくなりますね。野菜のピューレは多めに作って冷凍しておくこともできるので便利ですよ。仕事で遅い時間に帰った時など、同じく冷凍しておいたバゲットとポタージュで休肝日にしたりします。あとは、そのポタージュとは真逆のメニューで、肉がゴロゴロ入っているスープも同じくらいよく作ります。塩豚や牛すじをじっくり煮込んで作るのですが、だしがすごくおいしいので、ほとんどそのだしを目当てに作っている感じです(笑)。

──ハナコさんがブログやSNSで紹介されているお店はどれも魅力的で楽しそうなところばかりなのですが、お店で食べたスープで忘れられないもの、何度も食べたくなってしまうものはありますか。

うーん・・・。たくさんあるのでなかなか難しいですね。でも、オニオングラタンスープは自分では作らないので、お店で食べたくなるスープですね。あと、ちょっと意味が違うかもしれませんが、私はトルコのスープが大好きなんです。トルコにはもう何度も行っているのですが、トルコってスープ大国で、種類がものすごくたくさんあるんですよ。ロカンタ(大衆食堂)に朝行くと、まだ仕込み中だけど、スープは2~3種類は出来ていて出してくれます。レンズ豆のスープは日本のお味噌汁みたいな存在で、家庭によって作り方も味つけも違うのですが、どの家でもたいがいスープは常に火にかけているので、スープを食べたいと言うとすぐに出してくれる。具材もさまざまですが、溶かしバターにドライミントを入れて香りを出したものを最後にスープに入れるのが定番スタイルです。トルコはスープを食べるのが楽しみで行っているようなものですね。

──実はSoup Stock Tokyoにも「赤レンズ豆と白身魚のトルコ風スープ」というメニューがあります。ハナコさんがトルコで食べられたものと同じで、最後にドライミントを添えてお出ししています。

そうなんですね!今度ぜひ食べてみたいです。レンズ豆のスープ以外にも、羊の内臓のスープや干したヨーグルトを使ったスープなど本当にたくさんありますし、今後Soup Stock Tokyoでトルコフェアとかどうですか?(笑)

──2月に出版されたレシピ本『女ひとりの夜つまみ』、楽しく読ませていただきました。自分だけのために作る料理って、適当になってしまうことが多いですが、でもおいしいものを食べたい!しかも早く簡単に!というわがままに応えてくれるレシピばかりですね。

自分だけが食べる時って、ホント適当になりがちですよね。でも、いつも同じメニューや納豆ごはんじゃ味気ないし、私の場合、お酒もおいしく飲みたい(笑)。私は料理家ではないので、そんな私がレシピ本を・・・と思った時期もありましたが、私は外食も好きだし、まわりに食いしん坊も多いので、そこで出会った味や料理家の先生方に教わったちょっとした驚きを、お酒好きのひとりとして伝えられたらと思って作りました。

──もうすぐ発売される『ツレヅレハナコのじぶん弁当』も楽しみです。SNSなどを拝見していると、豚汁などのスープもよくお弁当にされていますね。

はい、よく持っていきますよ。そのお弁当本にも“汁物バンザイ弁当”っていう章があるくらい、お弁当に汁物を持っていくことを推奨しています。汁物があるだけでメニューが完結するし、豚汁など具材がたくさん入っているものであれば、それとご飯だけで十分ですよね。お昼ごはんを家で食べる時って、みんな大したものを食べていないはずなのに、それがお弁当となると、なぜかたくさんの種類のおかずを入れようとして頑張っちゃう。あの小さな箱に期待し過ぎだなと思っていたんですね。自分のためのお弁当なんだから、栄養も彩りもそこそこでいいじゃん?って。もっと気楽に作って、家の延長のような感じで食べられるといいなと思っています。そうすれば家の食材も使いきれるし、1000円以上するパスタランチとか食べなくていいですしね。

──ひとりで料理する時間は、ハナコさんにとってどんな時間ですか。

私は仕事で頭がちょっと興奮していたり、落ち込んでいる時こそ料理がしたくなりますね。帰宅するとまずお風呂に入って、缶ビールをプシュッと開けつつ冷蔵庫の中を見て、その場で考えて料理することが多いです。日常生活で上手くいかないことや、仕事で結果が出ないことがあっても、料理は自分ひとりで完結できるし、何かしらの結果も出る。一旦パーソナルな作業をすることでスイッチが切り替わる感じもしますね。だけど、そんなに難しいものは作れないし、帰る時間も遅かったりするので、なるべく簡単にできるもの、かつ、おいしくお酒が進むものを日々探し求めています。

──最近では、グルメ漫画『みつめさんは今日も完食』の原案も手かげていらっしゃいますが、今後挑戦してみたいことはありますか。

旅本を作ってみたいですね。海外へ行くと、現地の一般家庭にお邪魔して料理を習うということをライフワークにしているのですが、もう20年近くやっていて、だいぶ資料やレシピがたまっているので、いつかまとめたいと思っています。

ツレヅレハナコ

2004年5月より食をテーマにしたホームページ「ツレヅレハナコ」を開設(現在はブログに移行)。以降、100万view超えのブログ、ツイッター、インスタグラムなどで個人的な食情報を紹介し続けている。角打ちからビストロ、自作弁当、ホームパーティーまで、外食・自炊ともに食への欲望は尽きず。それでも「目玉焼きをつまみながら家で飲むお酒がサイコーだな」と日々思う家飲み好き。今年、レシピ本『女ひとりの夜つまみ』とお弁当本『ツレヅレハナコのじぶん弁当』を続けて発表。月刊スピリッツで連載中のグルメ漫画『みつめさんは今日も完食』では、原案も手掛けている。

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