「モノマネの女王」としてテレビやラジオはもちろん、ライブも精力的にされている清水さん。多忙な日々でも常にほがらかで、ご自身のペースを守られている様子が印象的です。30年を越える芸能活動を通しての感情コントロール法や、いつもほがらかな人に共通する特徴など、清水さんのユニークな語り口で、笑いに溢れたインタビューとなりました。
──テレビで見る清水さんは常に楽しく気持ちが安定されているように感じます。その秘訣を教えていただけますか。
へこんだりすることもありますよ。特に20~30代のときは今よりももっとメンタルが華奢でしたね。そんなときはお風呂に入ったり、カラオケに行ったり。身体をつかって気持ちを発散させることが多かったかもしれません。「脳は身体に引っ張られる」ということはあるかもしれないですね。あと、そのときは長所だったり、褒められた言葉だったりをノートによく書くことにしていました。そして何かあったらそれを読み返す。そうすると結構励まされます。嫌なことってわりと覚えているけれど、意外と人って誰かから褒められたことって忘れるんですよね。書き留めた文字に救われました。
──文章を書くことはお好きですか?
昔から「面白ノート」というものを作って、誰からも頼まれてないのにエッセイや4コマ漫画などを書いていました。それを周りの友達に見せて笑わせるのが好きでした。ウケる表現手段として文章を書いていましたね。
──清水さんが芸能界で表現を続けられている秘訣は何でしょう。
私はやはり芸能事が好きみたい。へこむことがあっても本番に入ると忘れるんです。笑い声や拍手を受けるのでそれでも元気をもらえますね。それに、何よりお芝居で役を演じるだけでも人って変わるんですよ。私みたいに「モノマネ」までいかなくとも、この人がいいなと思ったらその人のように意識してみるだけでも全然違います。ちなみに私の場合は平野レミさんのマネが一番楽しくなりますね。ただ平野さんのマネは口が疲れるのも早いですが(笑)。
──清水さんは人との関係を築くときに何か意識されていることはありますか。
信頼関係は大事にしていますね。モノマネをしていても実はご本人とお会いする機会ってそんなにないんです。なので出会ったときは謝罪から始めたり。毎日が綱渡りをしてるようなものですね(笑)。ただ(モノマネをしている)矢野顕子さんのように一緒にコンサートをしたりすることもあります。矢野さんとは何年も前から交流をさせていただいていますが、実は一番最初のきっかけは、矢野さんのモノマネをしている私を見て、矢野さんが面白がってステージを一緒にやろうとお誘いを受けたことから。自分の人生でこんな幸せなことはないと思いましたね。私の場合モノマネをするときは「人を笑わせたい」という気持ちと「好きな人の真似をしたい/その人になりたい」という気持ちが両方同居していますが、矢野さんのマネをするときは笑いを取ろうという気持ちがなかったりします。あとモノマネをするとき常に大事にしていることは、自分がまず楽しいということ。それはお客様にも通じます。例えば無理して毒づいたりしても自分が楽しくなかったらお客様にもウケないんです。
──芸能界を歩まれている中で様々な人を見られてきたと思います。その中で「いつもほがらかな人」、「いつもしなやかな人」に共通していることはどのようなことだと思われますか。
大竹しのぶさんや阿川佐和子さんはいつお会いしても機嫌がいいですね。感情の波にのまれている姿はあまり見ないです。お二人の共通点を挙げるとし たら、あまり人から好かれようと思っていないことかもしれません。いい意味で自己中心的。自分を中心に考えて常に機嫌良くしているのが、逆に周囲の人間にとって、その軽さが励みになる。最強のサービスですよね。
──他にリラックスするために何か日常でされていることなどはありますか
最近暖かくなって家の庭にメジロがやってくるんです。その鳴き声が聞こえるとちょっと手をとめて聞いてますね。あとは音楽鑑賞も。クラシックとかジャズとか。今はフジコヘミングさんをよく聴いてます。あと椎名林檎さんはライブに行ってすごいなと思ってから、ちょっとモノマネもしてしまいましたね。私に好かれるとろくなことがないですね(笑)。
──最後に、スープについてのエピソードがあれば教えてもらえますか。
昔デリカデッセンでアルバイトをしていたんですが、そのときに習ったチキンのスープがあって。ネギとショウガと塩コショウだけで作るんですが、ちょっと疲れているときや、風邪の予防なんてときは今でも作っていますね。あと各国の料理も好きなのですが、ペルー料理でも、イスラエル料理でも必ずスープはありますよね。湯気を取り入れる感覚は、世界共通で家庭的な潤いを心にももたらすのかなあ。以前韓国で食べた「たらとニンニクのスープ」もおいしくて印象的でした。
岐阜県高山市出身。1986年、渋谷ジァンジァンにて初ライブ。1987年、フジテレビ系『笑っていいとも!』レギュラーとして全国区デビューを果たす。以後、独特のモノマネと上質な音楽パロディで注目され、テレビ、ラジオ、映画、エッセイ、CD制作等、幅広い分野で活躍中。毎年の武道館単独公演も恒例となっている。近著に『顔マネ辞典』(宝島社)、CDに『趣味の演芸』(ソニーミュージック)、DVDに『私という他人』(ソニーミュージック)などがある。現在、清水ミチコHP(4325.net)にて、オリジナルグッズを販売中。