産地だより

YEAR CUPができるまで ~窯元の宝泉窯さんを訪ねて~

店舗で使っているスープカップに、その年だけの限定デザインを施す特別な「YEAR CUP」(イヤーカップ)。シンプルで機能的でありながらも、口当たり滑らかにお召し上がりいただけるようにと考えてつくったSoup Stock Tokyoオリジナルの食器です。

2025年は、イラストレーターのカラシソエルさん描き下ろしのデザインで、スープを「つくる」、皆で「わける」シーンが描かれた2種類のYEAR CUPをつくりました。

>>>2025年のYEAR CUPの詳細はこちら

YEAR CUPは、一体どんなところで、どのようにつくられるのでしょう。
今回、YEAR CUPの製造をお願いしている、佐賀県の有田焼製作窯元の宝泉窯さんを訪ねました。
有田焼とは、佐賀県有田町とその周辺地域で製造される磁器を指しますが、宝泉窯さんの周囲には焼き物に携わる様々な工場が点在しています。

まず訪れたのは生地を製造している工場。
最近では人手不足などで生地工場が減ってきているそうです。
器の形をした石膏型に陶土を乗せ、高速回転する金属製のローラーで器の形に引き延ばして成形します。

型から外し、不要な部分(バリ・凹凸)をきれいに整え、水を含ませたスポンジを用いて生地の表面を滑らかにします。

時間をかけて乾燥させ、生地が乾燥したら素焼きをします。素焼きをすることで生地に含まれている余計な水分を飛ばし、強度や吸水性が上がり、絵付けや釉薬(ゆうやく)をかけることができるようになります。
このあと本窯焼成をすると縮むので、素焼きの状態では出来上がりのサイズより15%ほど大きいサイズになっています。


↑左が素焼き、右が本窯焼成後

次に訪れたのは宝泉窯さんの工場。
ここではまず素焼きした生地を釉薬というガラス質の液体に浸します。この施釉(せゆう)と呼ばれる工程によって汚れや水漏れ防止および器の強度が高まります。
YEAR CUPは一つひとつ手で施釉(せゆう)するので、どうしても手で持ったカップの淵とそこの部分に釉薬(ゆうやく)が溜まってしまいます。なるべく滑らかにするために筆できれいに整えています。

釉薬(ゆうやく)をかけた生地を1300℃の高温で還元焼成します。還元焼成(酸素が少ない状態での焼成)するのが、有田・波佐見地区の磁器の特徴です。
本窯焼成をすることにより、釉薬(ゆうやく)が透明なガラス質の膜となり、白いカップが出来上がります。

次に白いカップに絵付けをします。
デザインがプリントされた転写シートを貼り付けていきます。一つひとつ手で貼るのでとても手間がかかる作業ですが、今回の「わける」のデザインはカップをぐるっと1周するデザインなので、貼り合わせる位置がずれないように、コンパスで測りながら慎重に調整しながら貼るため、この工程は特に時間がかかります。

820℃程の低温の窯でプリントを器に焼き付け、高台のざらつきをなめらかに処理し、ていねいに仕上げて完成です。最終検品後、梱包して出荷され、お申込みいただいた皆さまへお届けします。

機械化されている工程もありますが、職人さんが一つひとつ仕上げる工程も多く、手間暇(てまひま)がかかって作られていることを改めて知る機会となりました。


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日頃からSoup Stock Tokyoをご利用いただいているお客さまへ感謝の気持ちを込めて、一年に一度の特別な品をお届けしたいという私たちの想いと、焼き物に携わる職人さんたちの手間暇が重なり、2025年のYEAR CUPが完成しました。

毎日の食事時間は、自分らしく過ごす大切なひと時です。お気に入りの食器がひとつあると、食事の時間がすこし楽しみになる。お申込みいただいたお一人おひとりにとって、YEAR CUPがそんな存在になればうれしいです。

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