2016/11/25(Fri) おいしい教室@also 自由が丘
自由が丘のalso Soup Stock Tokyoで行う「おいしい教室 暮らしのじかん」。第二回目の開催となる今回のテーマは「ジャムとりんごの話」です。
旬のりんごにスパイスを加えて
これから旬を迎えるりんごでジャムを作ります。シナモンだけでなく、スターアニス(八角)、カルダモンでさわやかな香りを。フルーツとの相性がいいクローブも加えて、味に深みを加えます。
火にかける前、30分ほど砂糖をまぶしておくと、砂糖の効果でりんごから離水した水分で焦げ付きにくくなります。
2016年11月に「おいしい教室 旅とスープ ポーランド編」でもご一緒した、ポーランド映画祭を主宰されている小倉さんもお越しくださり、ポーランドのジャムの話をしていただきました。
ポーランドもりんごをたくさん食べる国。生産量も多く、ロシアに大量に輸出していたそうですが、ロシアへの輸出量が減ると共に、国内には大量のりんごが残ってしまうようになりました。これを機にポーランドではシードル作りが盛んになり、もともと各家庭でりんごジャムをつくる習慣に加えて、若者を中心にカフェなどでシードルを飲む文化が広がっていったそうです。
「3種のりんごジュース」は毎年ブレンドが違います。
冬になると毎年Soup Stock Tokyoでおだししている「3種のりんごジュース」。 きっかけは数年前、りんごを求めて産地を回っていたときに長野県信州中野市でとあるりんご農家さんに出会い、ふるまってもらったりんごジュースの味わいに感激したことでした。そのときは単一品種で作ったりんごジュースをいただいたのですが、ブレンドしたら更においしくなると確信した商品開発の桑折は、自分の味覚が一番おいしく感じる割合で「ふじ」「シナノゴールド」「秋映」の3種のジュースをブレンドしました。
日本では果物の美味しさを伝える単位は「糖度」が一般的ですが、「おいしさ」に大切なのは、糖度だけではなくバランス。甘いだけのものはぼやけた味になってしまうので、糖度と酸度を高いバランスで組み合わせます。自然の中で育った果物は毎年味のできばえも変わるもの。Soup Stock Tokyoでは、3種のりんごそれぞれが持つ甘みや酸味がちょうどいいバランスになるよう、毎年テイスティングして配合を決めています。
火を入れ始めてしばらくたち鍋が煮立ってきたら火を弱め、あとはことことと煮込んでいきます。
ジャムのとろみをだすのにはペクチンを使うことが多いですが、今回はレモンを一緒に煮込むことでペクチンを入れなくても程よいとろみを出します。りんごの皮も適量いれて、ほんのり赤く色づいたジャムが出来上がります。
日本には80品種のりんごがある。
現在、日本国内には約80品種のりんごがあります。(※)
「ふじ」や「むつ」などポピュラーなものから、「インド」など、現在はごくわずかな量しか出回っていない品種まで味も特徴もさまざま。驚きなのは、日本品種のりんごの多くが輸出用に生産されていることです。日本のりんごは品種改良が進み、甘さを好む中国などに高級なものから輸出されていく傾向にあります。
※日本の農林水産省に登録されている品種は2016年現在177種。品種登録が維持されているものは85種。
そしてよく聞く「サンふじ」などの「サン」は、なんと「sun=太陽」のこと。収穫前の成熟期に有袋(ゆうたい)という袋をかけ、見た目の良さや害虫防除効果を出しているのですが、この有袋をせずに最後まで太陽を直接浴びて育った品種が「サン」です。太陽の光を受けて表面が少しざらさらとするものもありますが、りんご本来のコクが引き立っている品種です。
今回は、前回の「旅とスープ ポーランド編」で教わったポーランドの日常のおやつ、「ナレシニキ」(クレープ)を作り、作ったりんごジャムとホイップを巻いてお茶の時間となりました。
ジャムは多様な種類、メーカーのものが簡単に手に入りますが、自分で作るのもとても簡単。砂糖の量を自分で調整できるので、毎日食べても飽きない自分好みの味のジャムを作ることが出来ます。
ジャムを作る間にキッチンに広がるりんごとスパイスの良い香りも、寒い冬を豊かにしてくれるはずです。
次回のおいしい教室も、どうぞお楽しみに。