2017/7/23(Sun)@東京・中目黒
Soup Stock Tokyoのカレー作りはさまざまです。スパイスを組み合わせ、現地の味を再現したり、別の料理をカレーに置き換えたり、「まだ誰も食べたことのないカレー」を作ったり。
カレーのこだわりを知ってもらうために、6月16日 17日の二日間、カレーのみを販売するCurry Stock Tokyoも開催し、店舗がカレー色に染まりました。
今回のおいしい教室は、Curry Stock Tokyo特別編。ミュージシャンであり、業界イチのカレー通、ホフディランの小宮山雄飛さんをゲストにお迎えし、雄飛さんと一緒に音楽とカレーを味わいつくしました。
■第一部:トークセッション
第一部ではSoup Stock Tokyo会長の遠山と雄飛さんによるトークセッション。日頃のファッションの話からはじまり、雄飛さんがカレーを作り始めたきっかけなど、遠山が気になることを質問しながらトークが繰り広げられ、話は多岐にわたりました。
「作ることが好き」という雄飛さんにとって料理と音楽は似ているといいます。
届けたい相手に作ったものを届ける、そして「おいしい」「楽しい」という反応をもらいながら、また次の創作活動をする。とてもシンプルな想いと、それを自然体でさらりとやってのける雄飛さん。
雄飛さんが纏う空気感は、とても心地よく、参加者との距離を縮めてくれます。
最近では、カレーにとどまらずグラノーラづくりにもはまりつつあるそうです。
話はさらに広がり続け、「この話題、まだ続きます?僕カレーと音楽の話をしに来たんですよね??」と雄飛さんからツッコミが入り会場が笑いに包まれることも何度か。
普段、なかなか聞くことのできない雄飛さんご自身のお話を伺い、その人柄や考えていること、物事をとらえる視点などを垣間見ることができる貴重な時間となりました。
■第二部:音楽からカレーを作るデモンストレーション
第二部では、Soup Stock Tokyoで10年以上商品開発を担当した桑折が加わり、音楽からイマジネーションを広げて作るカレーのデモンストレーション。
この日のために雄飛さんが選んだ曲はなんと、PrinceのKISS。
雄飛さん
「僕は、音楽作りとカレー作りは似ていると思うんです。この音を上げたらこっちを下げよう、とか、この曲はこの楽器を使ってみよう、とか。それがスパイスや食材選びに通じるんです。今日選んできたKISSという曲は、ベースがない曲。それをカレーに置き換えてみたらベース(出汁)は使わないよな、と思ったので出汁は入れません。ドンシャリ*が効いている曲だから、『シャリ感』をあっさりと大根おろしで表現して、カルダモンの皮をむいて中の種のつぶつぶで更にアクセントをつけよう、など、想像が広がったんです」
そう解説しながら、着々とカレー作りは進行します。
*ドンシャリ:低音と高音が強調された音楽を表現するフレーズ
雄飛さん
「濃厚なカレーもおいしいけれど、さらっとしたカレーも僕は結構好きなんです。食べた瞬間よりも時間をおいた後にじわじわ来る味。中目黒で食べているときにはなんだかあっさりかな?と思っていたけれど、食べ終わって電車に乗って2駅学芸大学駅あたりで時間差で『うわーおいしかったなー、あのカレー』とおいしさがこみあげてくるような。そんなカレーを作りたいですね。」
カレー作りをしながら、スパイスにまつわる面白エピソードも。
雄飛さん
「前に、床にスパイスをこぼしてしまったことがあって、掃除機で吸ったんです。今日も使っているカスリメティっていう香りの強いスパイスを。そうしたら、掃除機を使うたびに排気口からカスリメティのにおいが部屋中に充満して、もう駄目なんです(笑)。スパイスは掃除機で吸っちゃいけないということがよくわかりました。みなさんも気を付けてくださいね。」
そうこうする間に一時間弱でカレーは完成へ。「KISSカレー」と名付けられたカレーは、カルダモンや大根おろしでさわやかなシャリ感をだしながら、豚肉の薄切りでPrinceらしい繊細さも表現した逸品となりました。
雄飛さん
「豚バラ肉を使うところもPrinceらしいこだわりです。彼の音楽のテクニックはそれはもう超絶で、どんな難しいギミックも出来るんだけれど、あえて一般の人にも分かりやすいアレンジで、万人受けする音楽に仕上げることも出来ちゃう。だから今日のカレーもマニアックな食材を使うのではなく、手に入りやすいものが中心だし、みんなが好きな豚バラ肉で『みんな好きでしょ!』っていう味にする、っていうね。」
■第三部:立食懇親会
第三部はバナナの葉を敷き詰めたテーブルを中心に、参加者のみなさんと立食懇親会。 オリジナルの瓶のビールと無花果ラッシーで乾杯をしたあとは、Soup Stock Tokyoの「カシューナッツのホッダ」「無花果チャツネのキーマカレー」「ぶどう山椒の麻婆カレー」と雄飛さんのKISSカレーや「シンプル基本のチキンカレー」をご用意しました。
中でも皆さんの注目の的だったのが「福神漬け」これも雄飛さんのオリジナルレシピです。 「福神漬けって作ったことないですよね?でも簡単に作れてとてもおいしいんです。」と勧められて食べると、生姜のピリッとした辛みと醤油やお酢が効いた主役級の福神漬けでした。
あっという間に2時間半の「おいしい教室」も終盤へ。
最後に雄飛さんが言っていたひとこと。「コンセプトから作るカレーをつくるのもありですね。
自由な発想でカレーとむきあってみては?カレーは自由です!」
まさにSoup Stock Tokyoのカレー作りの向き合いかたと同じでした。
最後は全員で集合写真を。
この夏もSoup Stock Tokyoでは、カレーを通じて食から広がる「おいしい」をみなさまにお伝えしていきます。
次回のおいしい教室も、どうぞお楽しみに。
Photo by 村山玄子(muraya.ma)
ゲストプロフィール:小宮山雄飛さん
ミュージシャン/渋谷区観光大使 クリエイティブアンバサダー。
1973年原宿生まれ。96年よりバンド「ホフディラン」のボーカル&キーボードとして活動を開始。音楽以外では映画や書籍など様々なカルチャーに精通。なかでも食通として知られ、食にまつわる連載や多くのテレビ、ラジオ番組に出演し”音楽界のグルメ番長”の異名を持つ。2015年に、自身が生まれ育った渋谷区の観光大使 クリエイティブアンバサダーに就任。
今回の立食懇親会でもご用意し、とても好評だった「シンプル基本のチキンカレー」が載ったカレーのレシピ本『カレー粉・スパイスではじめる 旨い!家カレー』など書籍も絶賛販売中です。
『カレー粉・スパイスではじめる 旨い!家カレー』
著:小宮山雄飛 出版:朝日新聞出版 定価:1600円
5度目の増刷&韓国語版も発行
「第4回 料理レシピ本大賞」専門料理賞にて一次選考通過5作品に選出。